転職を検討している方に向けて、日本の転職市場の変遷から転職サイトの種類、効果的な活用法、最新の転職市場データやトレンド、そしておすすめの転職サイトまで網羅的に解説します。20,000文字以上のボリュームで、初心者にも分かりやすく実用的な情報を提供しますので、ぜひ参考にしてください。
日本の転職市場の歴史と転職サイトの登場背景
終身雇用から転職へ:日本の転職市場の変遷
かつて日本では「終身雇用・年功序列」が当たり前で、一つの会社に新卒から定年まで勤め上げる働き方が主流でした。第二次世界大戦後の高度経済成長期には、企業は新卒一括採用で人材を囲い込み、従業員も安定した雇用を得る代わりに高い忠誠心を示すという関係が築かれていました。そのため「転職」(中途採用で他社へ移ること)は珍しく、むしろ「石の上にも三年」という言葉に象徴されるように、途中で仕事を辞めるのはネガティブに見られがちだったのです。
しかし、1990年代初頭のバブル経済崩壊後、日本企業の経営環境は一変します。景気悪化に伴い、多くの企業がリストラや早期退職の募集を実施し、人件費削減に踏み切りました。その結果、終身雇用制度の信頼性が大きく揺らぎ、一つの会社に固執せずキャリアアップのため転職する動きが次第に受け入れられるようになりました。企業側も中途採用に積極的になり、人材の流動化が進んでいきました。
1970年代には、すでに「失敗してもやりなおせる社会」を作ろうという機運が芽生えていました。例えば1975年、リクルート社が求人情報誌『就職情報』を創刊し、転職希望者が新たな挑戦に踏み出せるよう支援し始めています。これは、終身雇用が前提の社会で「転職の自由化」を促進した画期的な試みでした。また1977年には「人材情報センター」(のちのリクルートエージェント)が設立され、求職者の代理人となって企業と交渉する「転職エージェント」という概念が日本に浸透しました。1980年代には女性向けの転職情報誌『とらばーゆ』が登場し、「女性が転職する」こと自体が流行語になるなど、従来は限られていた転職のスタイルが次第に多様化していきました。
求人媒体の進化:雑誌からインターネットへ
求人情報の提供方法も時代とともに大きく変化しました。1980年代までは、求人は公共職業安定所(ハローワーク)や新聞の求人欄が中心で、民間では有料の求人情報誌が主流でした。1980年代後半になるとアルバイト情報誌『an』や求人情報誌『DOMO』『FromA』などが人気を博し、フリーペーパー化も進みます。しかし1990年代に入りインターネットが登場すると状況は一変します。求人情報誌は次々と休刊し、求人情報は紙媒体からウェブサイトへと急速に移行していきました。折しもバブル崩壊によるリストラの増加が人々の仕事観を変え、「転職もやむなし」「より良い条件を求めて動こう」という意識改革の追い風にもなりました。
特に1998年は転職市場の転換点でした。リクルート社は当時の人気求人誌『B-ing』をオンライン化し、日本初期の本格的転職サイトとなる「Digital B-ing」(現・リクナビNEXT)をスタートさせました。これにより、求職者は自宅のパソコンから24時間いつでも求人検索や応募ができるようになり、採用企業も全国から人材を募れるようになりました。当初は紙媒体とネットが併存していましたが、2003年頃には求人への反響数でインターネットが紙媒体を追い抜くまでに至っています。
インターネットの普及に伴い、転職サービスには様々な新機能も生まれました。ウェブ上に求職者データベースを構築し、企業が条件に合う人材を検索してアプローチできるスカウト機能が登場したのも2000年代初頭です。リクナビNEXT(当時リクナビCareer)はいち早くこの仕組みを導入し、企業の人事担当者がサイト上で求職者のレジュメに直接オファーを送れるようにしました。一時期、釣り求人(存在しない好条件求人で応募者を集める手法)などの課題からこの直接スカウト機能は停止されましたが、その後は企業の代理としてエージェントが1対1で口説くサービスや、企業側に代わって媒体運営者がスカウト代行する形へ発展しました。2010年代になると再び企業が直接スカウトを送るサービスが各社で増え始め、ダイレクトリクルーティングは第二次ブームを迎えます。この頃にはFacebookやLinkedInなどSNSの台頭もあり、求職者データベースを活用したスカウトの様相は2000年代初頭とはまったく異なるものになりました。
転職市場を取り巻く環境変化と転職サイト誕生の背景
日本の中途採用市場に大きなインパクトを与えたもう一つの出来事が、1999年の職業安定法改正です。これにより民間の有料職業紹介事業(人材紹介会社)が原則自由化され、リクルートエージェントやパソナなど多くの転職エージェントが本格的に参入できるようになりました。それまで人材紹介業は許可制で新規参入が難しかったため、1999年以降にようやく多様な人材ビジネスが花開いたのです。この法改正とインターネットの普及が重なった2000年代は、求職者にとっては「情報誌から転職サイトへ、ハローワークから民間エージェントへ」と選択肢が大きく広がった時代といえます。
さらに2000年代後半から2010年代にかけて、海外発の求人サービスや革新的な国内スタートアップが次々と登場しました。2000年代にはアメリカ発の求人検索エンジンIndeedやビジネスSNSのLinkedInがサービスを開始し、日本でも2010年代に入り利用が拡大しました。日本国内でもビズリーチ(2009年創業)のような年収上位層向け会員制サイト、Wantedly(2012年創業)のようなSNS型のカジュアル面談プラットフォーム、OpenWork(旧称Vorkers、社員口コミサイト)など、新発想の人材サービスが誕生しています。
このように、日本の転職市場は終身雇用が揺らいだ1990年代を境に大きく変貌し、それに合わせて転職サイトも発展してきました。高度経済成長期にはほとんど存在しなかった転職という選択肢が、21世紀の現在では当たり前のキャリアステップとなり、求職者は自分に合ったサービスを選んで活用できる時代になっています。次章では、現代における転職サイトの多種多様な種類とそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
転職サイトの種類と特徴【網羅解説】
一口に「転職サイト」と言っても、扱う求人のジャンルやサービス形態によって様々な種類があります。総合型から専門特化型まで、代表的な転職サイトの種類とその特徴を網羅的に解説します。自分の志向や目的に合ったサイトを選ぶ参考にしてください。
総合型転職サイト
「総合型」転職サイトとは、業種や職種を問わず幅広い求人を掲載している大型サイトのことです。日本全国・全業界の求人を網羅しているため、利用者数も求人件数も非常に多いのが特徴です。例えば「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」「doda」「エン転職」などが総合型に該当します。
総合型サイトのメリットは、選択肢の多さにあります。一度に様々な業界・職種の求人を比較検討できるため、「やりたい仕事が明確に定まっていない」「他業種へキャリアチェンジしたい」といった場合にも情報収集がしやすいでしょう。また知名度が高く企業からの掲載ニーズも強いため、大手企業や有名企業の求人が豊富なのも魅力です。実際、総合型のリクナビNEXTやdodaには常時数万件規模の求人情報が掲載されており、幅広い年齢層・経験層の転職希望者に利用されています。
一方でデメリットとして、求人数が多すぎて自分に合う求人を探し出すのに手間取る場合があります。そのため検索条件の絞り込みやスカウトメールの活用など、後述する効果的な使い方が重要になります。また総合型サイトは基本的に登録・利用は無料で、求人掲載料を企業側から受け取るビジネスモデルです。求職者がお金を支払う必要はないため、まずは登録して求人動向をチェックしてみる価値があります。
業界・職種特化型転職サイト
「特化型」転職サイトは、特定の業界や職種、雇用形態に焦点を当てた専門サイトです。総合型にはない専門性の高い求人情報やサービスを提供できるのが強みです。
例えば、IT・Web業界に特化した「Green」や「Forkwell」「Qiita Jobs」などは、エンジニアやデザイナー向け求人を中心に扱っています。こうしたサイトでは、プログラミング言語や開発手法といった専門スキルで検索できたり、企業の技術スタック情報が詳しく載っていたりします。また医療・介護業界専門の求人サイト(「ジョブメドレー」「ナース専科」など)や、クリエイティブ職専門のサイト(「マスメディアン」「Creative Village」など)も存在し、それぞれ業界の事情に通じたコンテンツや求人票の書き方がされています。
特化型サイトのメリットは、自分の希望分野に合致した求人だけを効率よく探せる点です。求人数こそ総合型より少なめですが、その分「業界経験○年以上歓迎」「有資格者向け」など具体的な条件にマッチした求人と出会いやすい傾向があります。またサイト運営スタッフもその業界に精通しているケースが多く、キャリアコラムやイベント情報など付加サービスも専門性が高いです。
ただし、狭い領域に特化しているために求人件数が限定的である点には注意が必要です。ニッチなスキルほど求人が少ない場合もあるため、特化型サイトだけでなく総合型サイトやエージェントも併用すると良いでしょう。特化型サイトも基本的に利用は無料ですので、自分の職種・業界に強いサイトがある場合は積極的に活用してください。
ハイクラス・エグゼクティブ向け転職サイト
ハイクラス向け転職サイトとは、年収が高い管理職や専門職、役員クラスの求人に特化したサービスです。掲載される求人は年収800万円以上や部長・役員クラスが中心で、一般には非公開のポストが扱われることも多いのが特徴です。代表的なサイトに「ビズリーチ」やリクルートの「リクルートダイレクトスカウト」(旧称キャリアカーバー)、パソナの「iX(アイエックス)」などがあります。
ビズリーチは国内最大級のハイクラス向け会員制サイトで、年収600万円以上を目指す20代~40代に強く、会員の約7割が「思いもよらない企業やポジションからスカウトが届いた」と回答しています。ビズリーチでは企業やヘッドハンターからスカウトが届き、自身の市場価値を客観的に知ることもできます。またリクルートダイレクトスカウト(旧キャリアカーバー)も25万件以上の求人を保有し、20代~50代まで幅広い年代のハイクラス転職に対応しています。
ハイクラス向けサイトの特徴は、登録に審査がある場合があることと、一部有料サービスがあることです。例えばビズリーチでは無料会員でもスカウトは受け取れますが、自分から応募できる求人を増やすには有料プラン加入が必要です(企業からのスカウト経由での応募は無料)。これは限定された人材に効率よくアプローチしたい企業側のニーズと、求職者の本気度を担保するための仕組みと言えます。
ハイクラス転職サイトでは、ヘッドハンター(専門エージェント)経由のオファーも数多く扱われます。例えば「JACリクルートメント」や「エンワールド」のような外資系に強いエージェントがサイト上でスカウトを送ってくるケースもあります。従って、ハイクラスサイトを利用する際は職務経歴書を英語でも用意したり、実績やスキルを詳細にプロフィールに記載したりすることが重要です。
IT・エンジニア特化型転職サイト
IT業界やエンジニア職種に絞った転職サイトは非常に充実しています。前述の特化型に含まれますが、中でもIT・テクノロジー分野は求人需要が高いため、独立したカテゴリとして紹介します。
代表例の「Green」はIT/Web業界の求人数が国内最大級で、スタートアップから大手まで幅広いIT求人を扱っています。Greenでは企業から応募者へのメッセージ機能が充実しており、「気になる!」ボタンでカジュアルに興味表明できる仕組みなど、マッチングに工夫があります。また「レバテックダイレクト」や「DirectType」のように、ITエンジニア専門のスカウト型転職サイトも登場しており、例えばDirectTypeは1,600件以上のIT求人を掲載し、フルリモートOKの求人も多数含むなどエンジニア志向に特化しています。
IT特化サイトの強みは、スキルマッチングの精度です。検索条件で「Java経験3年以上」「AWS設計構築経験」など細かく指定できたり、GitHubやQiitaといったエンジニアのアウトプット情報と連携してスカウトの参考にしたりと、IT人材ならではのマッチングが行われます。また、サービスによってはオンラインスキルテストを受けて結果を公開することで、自分の実力を客観的に示せる仕組み(例:paizaのコーディングテスト)もあります。
需要の高いITエンジニア職においては、複数の専門サイトに登録しておくことで思わぬ好条件オファーを得られることもあります。ある調査では、スカウト型サイト利用者の75%が「想定外の業界・職種からスカウトが来た」と回答しており、自身では出会えないチャンスを掴むには受け身の活用も有効です。
外資系・グローバル企業向け転職サイト
外資系企業やグローバル求人に強い転職サイトもあります。外資系企業では英語力やグローバルなビジネス経験が求められるため、そうした求人を専門に集めたサイトでは効率よく情報収集が可能です。
有名なのは「Daijob.com」や「CareerCross」で、いずれも日英バイリンガル向けの求人情報サイトです。Daijobでは業界横断で外資系企業や日系グローバル企業の求人を掲載し、求人数は常時数千件規模です。職種は営業・マーケティングから技術職まで幅広く、求人票は日本語と英語で記載されています。また外資転職の成功談や英語履歴書の書き方などのコンテンツも充実しています。
LinkedInもグローバル人材の転職には欠かせないプラットフォームです。世界中の採用担当者が利用するビジネスSNSであり、日本でも外資系企業の多くがLinkedIn上でダイレクトリクルーティングを行っています。LinkedInの求人機能で英語要件のポジションを探したり、プロフィールを英語で公開しておくとヘッドハンターからの接触を受けやすくなります。
外資系向けサイトやサービスを使うメリットは、求人情報や選考プロセスがグローバル基準であることです。年収レンジや職務内容が明確で、自分の市場価値を把握しやすいでしょう。一方で応募書類は英語(または現地語)で用意する必要があり、英文レジュメ・職務経歴書の作成が求められます。応募から内定までのスピード感も日系企業と異なることが多いため、そうした点も踏まえて活動する必要があります。
第二新卒・未経験者向け転職サイト
第二新卒とは一般的に「卒業後1~3年程度以内の若手社会人」を指し、未経験者OKのポテンシャル採用を目的とした求人領域です。新卒で入社したもののミスマッチでもう一度キャリアをやり直したい人や、20代で異業種に挑戦したい人向けに、第二新卒や既卒に特化したサービスがあります。
代表的なサイトに「Re就活」があります。Re就活は20代専門の転職サイトで、職種未経験歓迎の求人やポテンシャル重視の求人を数多く掲載しています。「第二新卒歓迎」「学歴不問」「社会人経験不問」といった絞り込みができ、企業側も若手育成を前提に募集しているケースが多いです。また「マイナビジョブ20’s」や「キャリトレ」(20代向けのスカウトサービス)なども、若年層にフォーカスしたサービスです。
第二新卒向け求人の特徴は、ポテンシャル評価である点です。即戦力よりも「社会人基礎力が身についているか」「若いうちに吸収して成長できそうか」といった点が重視されます。そのため応募時には「なぜ転職したいのか(前職を短期間で辞めた理由)」「今後どんなキャリアを描きたいか」を明確に伝えることが大切です。書類選考では職務経歴より自己PRや志望動機が重視される傾向にあります。
未経験分野への転職も、第二新卒サイトや未経験者歓迎求人特集などを活用すると見つけやすくなります。ITエンジニア未経験募集、営業未経験OKなどの募集では研修制度の有無や教育体制も確認しましょう。第二新卒・未経験者向けサービスの多くはキャリア相談に乗ってくれるエージェント機能(例えばウズウズやハタラクティブなどの第二新卒エージェント)も提供しているので、不安な場合はプロに相談しながら進めるのも一つの手です。
アルバイト・派遣向け求人サイト
フルタイムの正社員転職ではなく、アルバイトや派遣社員として働きたい人向けの求人サイトも存在します。こうしたサイトは厳密には「転職サイト」というより「求人サイト」ですが、キャリアの一環として非正規雇用を検討するケースもあるため紹介します。
アルバイト求人で有名なのは、リクルートの「タウンワーク」やディップ社の「バイトル」です。タウンワークは街中のフリーペーパーでもお馴染みですが、Webサイトやアプリから地域・職種・シフト条件などで検索できます。バイトルは募集動画や社員インタビュー動画を見る機能が特徴で、応募前に職場の雰囲気を掴みやすい工夫があります。これらは高校生可のバイトからフリーター向けのレギュラー勤務まで幅広くカバーしています。
派遣社員向けには「リクナビ派遣」や「エン派遣」といった大手派遣求人サイトがあります。派遣の場合、派遣会社に登録して紹介を受けるスタイルになりますが、サイト上で求人検索をしてエントリーすると派遣会社の担当者から連絡が来る仕組みです。希望の勤務地や勤務期間、時給帯などで検索し、自分に合う派遣案件を探せます。
アルバイト・派遣求人サイトの特徴は、勤務地や勤務形態など条件面での絞り込みに特化している点です。例えば「週2日OK」「夕方のみ」「在宅可」「短期1ヶ月」など、働き方の条件から求人を探しやすくなっています。また応募もWebから数クリックでできる手軽さが魅力です。正社員転職とはプロセスが異なり、履歴書不要で面接1回のみというケースも多くあります。
注意点として、アルバイト情報誌・サイトは求人掲載期間が短く募集充足も早いため、タイミングよく応募することが大切です。派遣求人も競合が多い人気案件はすぐに締め切られるので、こまめな情報チェックが必要でしょう。
スカウト型(逆求人型)転職サイト
最近増えているのが「スカウト型」転職サイトです。これは従来のように求職者が求人に応募するのではなく、求職者が登録したプロフィールを見た企業側からオファー(スカウト)が届く仕組みのサービスです。自分では気づかなかった適性を企業が見出してくれたり、忙しくて積極的に応募できない人でも待っているだけでチャンスが舞い込む可能性があるのが特徴です。
代表的なスカウト型サイトとしては、前述のビズリーチも企業・ヘッドハンターからのスカウトを受け取る形ですが、他にも「OpenWorkスカウト」(社員口コミサイトOpenWorkに登録しておくとオファーが来るサービス)や、「OfferBox」(新卒向け逆求人サービス。中途版も存在)などがあります。ITエンジニア向けでは「Forkwell Scout」や「Lapras」(AIがGitHub等からエンジニアを発掘して企業に提案)があり、若手向けでは「キャリアチケットスカウト」なども登場しています。
スカウト型のメリットは、自分では知らなかった企業とのマッチング機会が得られることです。実際ビズリーチの調査では、利用者の75%が「思いもよらない業界や業種からスカウトが届いた」と感じています。視野が広がり、自分の市場価値を知るきっかけにもなるでしょう。また、現在在職中で積極的に応募できない場合でも、スカウトを待ちながら準備を進めることができます。
一方で、待っているだけでは必ずしも良いオファーが来るとは限りません。スカウトを増やすにはプロフィールの充実が不可欠です。「職務経歴書を詳細に書く」「希望条件や強みを具体的に記載する」「顔写真やポートフォリオを登録する」など、企業側に魅力が伝わる工夫をしましょう。また届いたオファーに対しては迅速に返信する、興味がない場合でも丁寧に辞退連絡をするなど、社会人マナーも大切です。それによって企業側の印象も変わり、良いご縁を逃さずに済みます。
副業・フリーランス向け転職サイト
近年、「会社に勤めながら副業をする」「会社を辞めてフリーランスとして働く」という選択をする人も増えています。政府の「働き方改革」推進やテレワーク普及も相まって、副業人口は年々増加傾向にあります。こうしたニーズに応えるため、副業マッチングサービスやフリーランス案件紹介サイトも充実してきています。
例えば、副業マッチングで有名な「シューマツワーカー」は、週末や平日のスキマ時間にできる副業案件を企業からマッチングしてもらえるサービスです。エンジニアやデザイナー、マーケターなど専門スキルを持つ人が登録し、ベンチャー企業のプロジェクトに週数時間参加する、といった副業を紹介しています。またパーソルが運営する「lotsful」(ロッツフル)は、成長企業と個人をつなぐ副業プラットフォームで、企業の課題解決にスポット参画するような案件が掲載されています。
フリーランス向けには、クラウドソーシング系の「Lancers」や「クラウドワークス」が最大手です。これらは案件ごとに業務委託契約を結ぶマッチングサイトで、Web制作やライティング、事務作業まであらゆる仕事が発注されています。ITエンジニア向けのフリーランスエージェントも多数あり、レバテックフリーランスやギークスジョブなどは高単価の常駐案件を紹介しています。
副業・フリーランス特化サービスのメリットは、柔軟な働き方を実現できる点です。空いた時間を使って収入を増やしたり、好きな案件だけ選んだり、在宅で複数社と契約したりと、自分の裁量で働き方を設計できます。一方でデメリットとしては、収入や仕事の安定性が低いことが挙げられます。副業では本業との両立、フリーランスでは継続的な案件獲得という課題があります。
これから副業や独立を考えている方は、いきなり会社を辞めるのではなく、在職中に副業サイトで小さく始めてみるのがおすすめです。実績や信頼を積むことでより大きな仕事に繋がり、将来的に独立しやすくなるでしょう。また、副業解禁している企業も増えているとはいえ、就業規則上の制約がないか本業側に確認することもお忘れなく。
リモートワーク対応の転職サイト
COVID-19の影響で一気に普及したリモートワーク(在宅勤務)は、転職市場にも大きな影響を与えました。働く場所にとらわれない求人が増え、「フルリモート可」「在宅勤務OK」と明記した募集も珍しくなくなっています。転職サイトでも「リモートワーク可」のフィルター検索ができるようになったり、リモート求人専門のサイトが登場したりしています。
実際、2023年時点で厚生労働省の調査によれば、週に1日以上テレワークを実施する雇用者の割合はコロナ前に比べ大幅に増え、令和5年度には7割を超えています(テレワーク経験者に占める割合)。一方で完全に出社不要な「フルリモート」となると、日本ではまだ少数派です。ある調査では、日本で完全リモート勤務が可能な会社は全体のわずか1%に留まったという結果もあります(世界平均14%に比べ極端に低い割合)。多くはハイブリッド勤務(週の一部は出社)ですが、それでも勤務地に縛られない働き方へのニーズは高まっています。
こうした中、リモートワーク求人に特化したサービスも登場しました。例えば「Reworker(リワーカー)」や「Remogu(リモグ)」といったサイトは、フルリモート可能な正社員求人だけを集めた転職メディアです。掲載企業も「全国どこでも勤務可」「時差勤務OK」など柔軟な働き方を認めているところが多く、地方在住のまま都市圏の仕事に就くことも可能になります。
また、総合型のマイナビやdodaなどでも検索条件に「在宅勤務可」があり、対象の求人だけを抽出できます。IT業界は比較的リモート導入率が高いため、先述のIT特化型サイトでもリモート求人特集が組まれていたりします。
リモートワーク対応の求人を探す際のポイントは、「どの程度リモートか」を見極めることです。「フルリモート」「原則在宅(必要に応じ出社)」「地方在住可(入社後●ヶ月は研修で出社)」など企業によってスタンスが異なります。応募前に求人票や企業HPで在宅勤務の制度を確認し、自分の希望する働き方と合っているかチェックしましょう。また、リモート面接になるケースも多いので、オンラインでのコミュニケーションに慣れておくことも大切です。
転職サイトの選び方と成功する活用法
転職サイトを上手に活用するためには、まず自分に合ったサイトを選ぶこと、そして各サイトの機能をフル活用することが重要です。この章では、サイト選びのポイントと、転職活動を成功に導くための活用法・コツを具体的に説明します。
自分に合った転職サイトの選び方
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転職の目的・軸を明確にする
サイト選びの第一歩は、自身の転職の目的や優先条件をはっきりさせることです。例えば「年収アップが第一」「未経験分野に挑戦したい」「地方で働きたい」「ワークライフバランス重視」など、人それぞれ譲れないポイントがあるはずです。それによって、総合型が良いのか特化型が良いのか、エージェントサービスも併用すべきかなど方向性が見えてきます。目的が曖昧なままだと、せっかく多くの求人情報を得ても判断に迷ってしまいます。まずは自己分析とキャリアの棚卸しを行い、「自分は何を実現するために転職するのか」を言語化してみましょう。 -
得意分野のサイトを選ぶ
それぞれの転職サイトには得意領域があります。自分の業界・職種や志向にマッチしたサイトを選ぶことで、効率良く希望の求人にアクセスできます。例えばITエンジニアであればGreenやレバテックなどIT専門サービスのほうが希望条件に合う求人が見つかりやすいですし、営業職であればリクナビNEXTやdodaなど母数の多いサイトで網羅的に探すメリットがあります。口コミや評判も参考になりますが、サイトごとに掲載企業の傾向(大手が多い・ベンチャーが多い等)が違うので、自分の志望企業層と合致するサイトを選ぶと良いでしょう。 -
複数のサイトを併用する
一つのサイトだけではどうしてもカバーしきれない部分があります。実際に多くの求職者が複数の転職サービスを併用しています。例えば総合型サイトで幅広く求人情報を収集しつつ、特化型サイトで専門求人も探す、といった具合です。また求人サイトと転職エージェントを併用する人もいます。求人応募はサイト経由で行い、年収交渉や面接日程調整はエージェントに任せる、といった形です。一つのサービスに絞る必要は全くありませんので、補完関係を意識して2〜3種類程度登録しておくと安心です。 -
サイトの使い勝手やサービス内容を比較する
登録自体は無料でできるサイトばかりですから、実際に使ってみて操作性やマッチング精度を体感するのも大事です。検索のしやすさ、サイトから届く求人案内メールの内容、自分のプロフィール閲覧数(どれくらい企業に見られているか)などを試してみましょう。あるサイトでは反応が鈍くても、別のサイトではスカウトがたくさん来るということもあります。またエージェント系サービスの場合、担当者との相性もあるので、合わないと感じたら他社に切り替える決断も必要です。 -
求人以外の情報提供もチェック
サイトによっては求人検索機能だけでなく、転職ノウハウ記事、適職診断テスト、イベント(転職フェア)など付随サービスが充実しています。例えばエン転職は企業の社員や元社員からのコメントを独自に掲載して企業カルチャーを伝える工夫がありますし、dodaやマイナビ転職は各業界の動向レポートや平均年収データなどを公開しています。これらのコンテンツが充実しているサイトは、求人選びだけでなく情報収集にも役立つので、積極的に活用できるでしょう。
転職サイトを活用するポイント
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プロフィール(履歴書・職務経歴書)を充実させる
転職サイトに登録したら、まず入力項目をできるだけ埋めることが重要です。氏名や連絡先はもちろん、学歴・職歴・保有資格・スキル・自己PR・希望条件など、サイト上のプロフィールはあなたの分身です。企業の採用担当者はスカウトを送る際に求職者のプロフィールをチェックしますし、サイトのレコメンド機能やスカウトマッチングも登録情報をもとに行われます。「忙しいから経歴はざっくりでいいや」と未入力のままだと、マッチする求人を見逃したりスカウトチャンスを逃したりしかねません。履歴書・職務経歴書をアップロードできるサイトでは最新版を添付し、職務経歴サマリーや自己PR欄には簡潔でアピール力のある文章を記載しましょう。実績は数値を交えて具体的に書く、得意スキルやこだわりを盛り込むなどすると、企業側に刺さりやすくなります。 -
検索機能と通知機能をフル活用する
転職サイトでは検索条件を細かく指定できますが、うまく活用することで効率が格段に上がります。勤務地・年収・業種・職種など基本条件の組み合わせは何パターンか試し、自分が気になる求人がヒットしやすい条件設定を見つけましょう。一度条件を保存しておけば、新着求人の通知メールを受け取れる機能もあります。忙しくて毎日サイトをチェックできない方でも、通知をONにしておけば見逃しを防げます。また、検索結果を並び替える際は「更新日順」で見るようにすると、最近掲載された求人=募集熱度が高い求人を優先的に確認できます。 -
スカウトメール・オファーには積極的に反応する
登録していると、企業やエージェントからスカウトメールやオファーメッセージが届くことがあります。興味のない内容だった場合も含め、なるべく早めに開封して返事をするのがおすすめです。応募意思があるなら「ぜひ詳細を伺いたい」と前向きな返信を、興味がない場合もお断りの旨を簡潔に伝えましょう。放置せず丁寧に対応することで、その企業やエージェントとの関係性が良くなり、別のポジションを紹介してもらえることもあります。スカウトサービスでは返信率の高さも評価対象となっている場合があり、きちんとリアクションすることで他社からのオファーが増える可能性もあります。 -
転職エージェントの活用も視野に入れる
転職サイトによってはエージェントサービスを併設しているところがあります(例えばdodaやマイナビなど)。サイト経由で応募した後、希望者にはキャリアアドバイザーが付き選考サポートしてくれるケースもあります。転職エージェントを利用すると、求人サイトに載っていない非公開求人を紹介してもらえたり、応募書類の添削や面接対策、年収交渉の代行など様々な支援が受けられます。特に初めての転職で不安が大きい方や、忙しくて企業ごとに調査・調整する時間がない方には心強い味方です。ただし、エージェントはあくまで企業と求職者の仲介役であり、あなたに代わって転職を決めてくれるわけではありません。主体的に動きつつ、上手に頼れるところは頼るというスタンスでいると良いでしょう。 -
履歴書・職務経歴書を応募先ごとにブラッシュアップ
応募の際には、職務経歴書を応募企業ごとに微調整するのが望ましいです。応募フォームに職務経歴をコピペして送る場合も多いですが、企業ごとに強調すべきスキルや実績を少し入れ替えたり、志望動機の熱意を別途伝えたりすることで合格率は上がります。転職サイト上で作成したプロフィールだけで済ませず、自作の職務経歴書ファイルを添付できる場合は最新情報を反映したものを送りましょう。また日本の履歴書には写真貼付が一般的です。フォーマルな服装で撮影した写真を準備し、データで提出の場合も添付すると印象が良くなります。 -
企業研究にサイト情報+αを活用する
転職サイトの求人情報だけでは見えない部分を補うために、企業研究も怠らないようにしましょう。会社公式HPや決算情報、ニュースリリースなどは最低限チェックしておきたいです。最近ではOpenWorkやライトハウスといった社員口コミサイトで社風や残業時間の実態などを把握する人も増えています。また応募先企業のSNS発信や採用動画があれば目を通しておくと、面接での話題作りにも役立ちます。可能であればそうしたコンテンツも確認し、志望動機や逆質問に活かしましょう。 -
転職活動のスケジュール管理とフォローアップ
複数の企業に応募すると、書類選考・面接の日程管理が煩雑になります。転職サイトによってはマイページで応募状況を管理できる機能がありますので活用してください。Excelや手帳で自分で管理する場合は、「応募日/書類通過連絡待ち/面接日程/結果」など項目を作って一覧化すると漏れを防げます。また、応募後に反応がない場合はサイト経由でリマインドメールを送れる場合もあります。一定期間返事がない企業には問い合わせをする、内定を頂いたらサイト上で内定承諾/辞退の手続きを行うなど、最後まで誠実に対応しましょう。 -
ネット上での印象管理にも注意
転職サイトとは直接関係ありませんが、SNS全盛の時代では採用担当者が応募者のSNSをチェックするケースもあります。実名登録のLinkedInはもちろん、TwitterやFacebookで公開設定になっている投稿は誰でも見られます。不適切な発言やプライベートな投稿で評価を下げてしまうことのないよう、設定を見直すか過去投稿を整理しておくと安心です。一方で、仕事に関する発信を積極的に行っている人はプラス評価になることもあります。自分のブログやnoteで専門知識を発信している、GitHubにコードを公開している、などはスキルアピールにつながりますので、選考中に参照してもらいたいものがあれば応募時に伝えても良いでしょう。
転職活動の流れと成功のコツ
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自己分析・情報収集
転職を思い立ったら、まずは自分の経験やスキルの棚卸し、将来のキャリアビジョンを考えます。同時に、希望業界・職種の市況や必要なスキル、平均給与などを調べておきましょう。転職サイトのコラムや業界研究記事、公的データが役に立ちます。この段階で「本当に転職すべきか」「今の会社でも達成できることはないか」も含めて整理すると、後悔のない決断につながります。 -
履歴書・職務経歴書の準備
応募書類は早めにブラッシュアップしておきます。履歴書はJIS規格フォーマットに沿って基本事項を漏れなく記入し、志望動機欄があれば簡潔に。職務経歴書はA4紙2枚程度にまとめ、職歴ごとに業務内容・実績・身につけたスキルを整理します。数字や専門用語を用いて具体性を出し、自分の強み・成果が伝わるように構成しましょう。第三者(できれば業界を知る先輩など)に添削してもらうと客観的な改善点が見つかることもあります。 -
転職サイト登録・求人検索
前述のポイントを参考に、自分に合った転職サイトやサービスに登録します。1社に絞らず複数登録し、それぞれで求人検索を開始しましょう。最初は条件を絞り込みすぎず、興味のある求人を「気になるリスト」へ保存していくと傾向が見えてきます。条件面だけでなく仕事内容や求める人物像もしっかり読み、自分にマッチしそうか検討します。疑問点があればエージェント経由で質問したり、OB訪問やオンライン交流会に参加して現場の声を聞いたりすると理解が深まります。 -
応募と並行して面接対策
希望する求人が見つかったら積極的に応募していきます。応募数に決まりはありませんが、一般的には数社〜十数社程度にエントリーする方が多いです。書類選考が通ったら次は面接ですから、応募後は想定質問集を作って回答を準備したり、企業研究をさらに深掘りしたりしましょう。最近はオンライン面接も増えていますので、接続環境やカメラ映りも確認しておくと安心です。面接の日程調整は速やかに行い、他社の選考状況とも照らし合わせてスケジューリングします。 -
面接の実施(複数回)
多くの企業では面接は2〜3回実施されます。1次は人事や現場担当者、2次以降で役員面接という流れが典型です。面接では自己PR・志望動機・転職理由・前職での経験・入社後にやりたいこと等が質問されます。いずれも自分の言葉で具体的に答えることが大切です。暗記したような表面的な回答より、エピソードを交えて熱意や人柄を伝えましょう。また「逆質問」の時間には、企業研究で生じた疑問を積極的に質問します。ただし福利厚生や給与ばかり聞くのは好ましくないため、仕事内容に踏み込んだ質問や成長機会に関する質問などが望ましいです。 -
内定獲得・条件確認
晴れて内定の連絡を受けたら、提示された労働条件を書面で確認します。求人票の条件と相違ないか、入社日程や年収額、配属部署など不明点は残さず質問しましょう。年収交渉をしたい場合はエージェント経由だと伝えやすいですが、自分で直接交渉する場合は慎重に理由と希望額を伝えます。複数内定を得た場合は、迷ったら実際に職場見学をお願いしたり改めて面談の場を設けてもらったりしても構いません。最終的には自分のキャリアビジョンに合致するか、会社の価値観がマッチするかなど総合的に判断します。 -
現職の退職交渉・引き継ぎ
転職先を決めたら、現在勤めている会社で退職の手続きを進めます。在職中の方は就業規則に定められた退職予告期間(通常1ヶ月前までなど)に従い、上司へ意思を伝えましょう。円満退社するために、引き継ぎ資料を作成したり後任への業務引き継ぎを丁寧に行ったりします。転職サイトには退職手続きのマナー記事などもありますので参考にしてください。退職交渉が難航するケースもありますが、法律上は2週間前の意思表示で退職可能(民法上)とはいえ、できるだけ迷惑をかけない形で円満に去ることが、あと味よく新天地に向かうコツです。 -
入社準備と入社後フォロー
退職日と入社日を調整し、晴れて新しい会社での勤務が始まります。入社に際しては提出書類や入社前研修の案内などがありますので漏れなく対応します。入社後、試用期間中は特に緊張しますが、早期離職を防ぐためにも積極的に職場に馴染む努力をしましょう。もし聞いていた話と違う等ギャップを感じたら、すぐに一人で抱え込まず上司や人事に相談することも大切です。また、転職サイトによっては入社後何ヶ月か経ったタイミングでアンケートやヒアリングを実施してくれる場合もあります。自身の転職活動を振り返り、良かった点・改善点を整理して今後に活かすと良いでしょう。
以上が転職活動の大まかな流れです。成功のコツは、一言で言えば「主体的かつ周到に動くこと」です。転職サイトやエージェントといったツールはあくまで手段であり、最終的にキャリアを切り拓くのは自分自身です。とはいえ、不安なときや悩むときは頼れるリソースをフル活用し、家族や友人の意見も聞きながら進めれば心強いでしょう。
次の章では、現在の日本の転職市場がどのような状況にあるのか、最新のデータや統計をもとに解説します。市場動向を知ることで、自分の転職戦略をより適切に立てられるはずです。
転職市場の現状(データ・統計)
ここでは最新の転職市場動向について、データや統計を交えながら解説します。求人数や転職成功率の変化、需要が高まっているスキル・職種などを押さえておきましょう。市場を理解することは、転職活動を有利に進める上で重要です。
求人数と求人倍率の動向:売り手市場が継続
日本の中途採用マーケットは、近年「売り手市場」(求職者有利の市場)が続いていると言われます。厚生労働省が発表した一般職業紹介状況によると、2023年4月時点の有効求人倍率(求職者1人あたり何件の求人があるかを示す指標)は1.32倍で、前年同月比+0.08ポイントと高い水準でした。有効求人倍率が1倍を超えるということは、求人の方が求職者より多い状況であり、企業側が人材確保に苦戦している構図です。この傾向は特に中途採用市場で顕著で、各社とも即戦力人材を巡って採用競争が激化しています。
民間のデータでも同様の傾向が見られます。転職サービスdodaの「転職求人倍率レポート」によれば、2019年頃から求人数は右肩上がりで推移し、コロナ禍で一時落ち込んだものの2022年以降再び増加基調です。2023年は全業界で求人数が増加し、転職市場は活発化する見込みと分析されています。業種別ではIT・通信、建設、不動産などで求人増加が目立つとの報告もあります。
ただし注意すべきは、景気や外的要因によって市況が変動し得る点です。例えば世界経済の減速や円安・インフレ、ウクライナ情勢などの影響で業界によっては採用を慎重にする動きもあります。また新型コロナウイルス流行初期の2020年には有効求人倍率が1.0を割り込む場面もありました。つまり、売り手市場とはいえいつまでも求人が豊富とは限らないため、良い求人に巡り合ったら適切なタイミングで動くことも大切です。
転職者数と転職率の増加
厚生労働省や総務省の調査によると、日本の転職者数は近年増加傾向にあります。総務省「労働力調査(詳細集計)」の分析では、2023年時点で転職者は約325万人となり、前年から12万人増加し6期(四半期)連続で増加しました。また「転職希望者(現在仕事についていない人や、在職中でも他に仕事を探している人)」は約1,035万人と、10期連続増で過去最多を更新しています。これらの数字から、転職市場への潜在的な流入者が着実に増えていることがわかります。
マイナビの『転職動向調査2024年版』でも興味深いデータが示されています。現在正社員として働く20〜50代のうち、2023年中に転職をした人の転職率は7.5%にのぼり、2016年調査開始時から約2倍以上という過去最高水準を維持しています。7.5%という数字は、正社員の約13人に1人が年間で転職した計算になり、相当高い水準です。また転職者の属性を見ると、30〜50代のミドル世代男性が約半数を占めており、かつては若手が中心だった中途採用が中堅層にも広がっていることを示唆します。リーマンショック前後は「35歳限界説」などと呼ばれ35歳以上の転職が難しいと言われた時代もありましたが、現在ではマネジメント経験や専門スキルを持つミドル層の求人も豊富で、多くの企業が経験豊かな即戦力を求めています。
また、転職による個人のメリットもデータに表れています。先のマイナビ調査によれば、2023年に転職した人のうち約4割が「年収が上がった」と回答しています。実際、売り手市場の状況下で企業間の人材獲得競争が起きており、好条件オファーで人材を引き抜くケースも増えています。特に高度専門職や管理職では、前職比で年収100万円以上アップという事例も珍しくなくなっています。ただし一方で、「年収は下がったが他の条件(勤務地や仕事内容)が良くなった」といった転職もあるため、一概にお金だけが成功指標ではありません。しかし多くの転職者が何らかの待遇改善やキャリアアップを実現していることは確かであり、これが更なる転職希望者の増加に繋がるという好循環が生まれています。
求められるスキル・職種の変化:DX人材の需要増
現在の求人市場で特に需要が高まっている職種やスキルとして、真っ先に挙がるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)人材です。企業の業務やビジネスモデルをITの力で変革するDXは多くの企業にとって喫緊の課題であり、それを推進できる人材が不足しています。
経済産業省の予測によれば、2030年までに最大79万人のIT人材が日本で不足する見込みとされています。この不足には単にプログラマーやエンジニアといった技術者だけでなく、ビジネスとテクノロジーの橋渡し役となるような企画職・プロジェクトマネージャー層も含まれます。DX推進にはITスキルだけでなく業務知識や変革をリードするマネジメント力も必要なため、そうした複合スキルを持つ人材(いわゆる「デジタル人材」)の獲得競争が起きています。この傾向は製造業や金融業など伝統的な大企業で特に顕著で、大手各社が高額年俸でITプロ人材を中途採用するニュースもよく見られます。
また、データサイエンティストやAIエンジニアなどの先端IT人材も引く手あまたです。企業が保有するビッグデータを活かして経営に活用したいというニーズが高まり、統計解析や機械学習のスキルを持つ人材の求人が増加しています。年収レンジも高く、30代でも1000万円を超える提示がなされることもあります。ただ慢性的な人材不足領域のため、未経験から育成するケースも増えており、例えばITエンジニアからデータ分析職へのキャリアチェンジ、研究畑(数学・物理など)出身者の民間企業への転向なども活発化しています。
一方、コロナ禍以降に需要が伸びた職種としては、ECサイト運営やデジタルマーケティング、人事領域ではリモート環境下での労務管理ノウハウを持つ人材などが挙げられます。巣ごもり需要でEC・物流が拡大したため、WebマーケターやECサイトディレクターの求人が増えました。また在宅勤務が定着する中で、オンライン研修企画、人材開発(リスキリング支援)担当など、人事領域でも新たなポジションが生まれています。
このように、技術革新や社会環境の変化に伴って求人ニーズも変わってきているのが現状です。求職者としては、自分のスキルセットが今の市場でどう評価されるかを把握しつつ、将来を見据えて不足スキルを補ったり学び直したりすることがキャリア戦略上重要になっています。例えば営業職の方がデジタルマーケの知識を習得したり、事務職の方がITツールに明るくなったりすれば、転職市場での希少性が高まり選択肢も広がるでしょう。
転職成功率と採用側の動向
求人数が多く転職者も増えている中で、実際にどれくらいの人が転職に成功しているかも気になるところです。明確な「転職成功率」を示す公的データはありませんが、マイナビ転職などのサイトが公表している利用者アンケートでは半年以内に転職先を決める人が大半という結果が出ています。多くの求人情報にアクセスできるようになったこと、オンライン選考でスピーディーにプロセスが進むことなどが影響し、平均的な転職活動期間は3〜6ヶ月程度と言われます。中には1〜2ヶ月でサクっと決める方もいますが、じっくり比較検討する人は半年以上かける場合もあります。
採用する企業側の動きを見ると、人材確保に積極的である一方、ミスマッチを防ぐ工夫も見られます。例えば候補者とカジュアル面談を実施してお互いに理解を深めてから正式選考に進む企業が増えました。Wantedlyなどのサービスを通じて気軽にお茶会的な場を設けるケースもあれば、オンライン説明会で双方向のコミュニケーションを取る例もあります。また企業が採用ブランディングに力を入れ、社内の雰囲気を動画やSNSで発信する動きも活発です。これは求職者側にとっても情報収集源が増えるというメリットがあります。
一方で、選考プロセスの迅速化も進んでいます。人気人材は複数オファーが当たり前の状況のため、企業もダラダラと面接回数を重ねず短期間で内定を出すケースが増えました。中には1回面接(場合によっては食事会程度の面談)で即日内定ということもあります。これはスピード勝負で良い人材を逃さないためですが、求職者側からすると準備不足で面接に挑むリスクもあるので注意が必要です。たとえ1回でもしっかり自己PRできるよう準備は万全にしておきましょう。
このように、転職市場の現状は「売り手市場でチャンスは多いが、その分自分自身の価値を高めておくことが大切」と言えます。データを踏まえて市場感覚を持ちつつ、自分の転職戦略を立ててください。次の章では、転職サイトや転職活動に関する最新トレンドを紹介します。AIやSNSなど、新しい波を捉えて効率的に転職を成功させましょう。
転職サイトの最新トレンド
テクノロジーや社会の変化に合わせて、転職サイトおよび転職活動にも新たなトレンドが生まれています。この章では、AIマッチングの活用、リモートワーク求人の増加、DX人材需要、そしてSNS・動画を活用した転職活動という4つのキーワードに注目し、最新の動きを解説します。最先端のトレンドを押さえて、令和時代の転職を有利に進めましょう。
AIマッチングの活用:転職活動の効率化と第三世代の採用
近年、ChatGPTをはじめとする生成系AIや機械学習技術の発展により、人材業界でもAIを活用したマッチングが注目されています。従来は人間のキャリアアドバイザーや求人票キーワードによって行われていた求職者と求人のマッチングを、AIが大量のデータから学習して自動で推薦してくれるというものです。
例えば、ビズリーチ社が以前提供していた「キャリアトレック」は、独自開発の人工知能がユーザーの経歴や希望に合わせて毎日おすすめの求人をレコメンドしてくれる仕組みでした。ユーザーは表示された求人に対し「興味がある・ない」をスワイプ操作でフィードバックするだけで、AIが嗜好を学習してより精度の高い求人を提案してくれるという、いわば転職版マッチングアプリのようなサービスでした。AIがバックエンドで動くことで、求職者は広大な求人プールから適した案件を効率的に探し出すことができるわけです。
さらに、2023年には人を介さないAI完結型の採用アプリも登場しています。その一つが「HelloBoss」で、AIによるマッチングと企業と求職者のチャットで採用プロセスが完結するアプリです。人間の仲介者を介さない分コストを大幅に下げ、月額数千円ほどの低価格で企業に提供されています。求人サービスの進化を「1)仲介型(人材紹介)→2)掲載型(求人サイト)→3)AIマッチング型」と位置づけ、これを「第3世代」の求人サービスだと定義づける動きもあります。
求職者にとってAIマッチングの恩恵は、自分では探しきれない可能性の発見と作業負荷の軽減にあります。AIが客観的に見てマッチ度の高い求人を提示してくれるため、「こんな企業が自分を求めていたのか」という新発見が期待できます。また、大量の求人を一つ一つ閲覧・比較する労力が削減され、スカウトメールなどもAIが取捨選択してくれる将来像も考えられます。
もっとも、現段階ではAIマッチングも万能ではなく、「推薦されたけど興味のない求人が多い」と感じるケースもあります。AIは過去のデータから学習するため、イレギュラーなキャリアチェンジ希望などには対応しきれないこともあります。最終的には、AIからの推薦+自分での検索+エージェントからの提案といったハイブリッドな情報収集が望ましいでしょう。とはいえ今後AI技術がさらに向上すれば、求人選びやマッチングの精度・スピードは格段に上がると期待されます。求職者としてもAI時代に適応し、自身のスキルや経歴をデータとしてきちんと整備しておくことで、AIマッチングで拾われやすくなると考えられます。
リモートワーク・フルリモート求人の増加
前章でも触れましたが、リモートワーク求人はコロナ禍を契機に爆発的に増えました。転職サイト各社も「在宅勤務可」の特集ページを組んだり、検索フィルターを目立つ位置に配置したりと、ユーザーのニーズに応えています。2020年以前には「東京勤務」「大阪勤務」と勤務地を前提に求人を見るのが当たり前でしたが、今では「フルリモートOK(全国どこでも可)」という募集も珍しくなくなりました。
特にIT・Web業界ではリモート勤務が定着しており、エンジニア求人の多くにリモート可の記載があります。また、地方在住者を対象に「フルリモートで都心企業の仕事をしませんか?」といった逆求人イベントが開催されるなど、地域間の人材マッチングも活発です。求職者側も、「地方移住したいが東京の仕事も続けたい」「育児や介護と両立するため在宅希望」といった様々な理由でリモート可能求人を探す人が増えました。
ただ、完全リモートを許容する企業はまだ一部です。日本全体で見るとフルリモート勤務が可能な会社は1%程度との調査もあります。多くは「週◯日は出社」「試用期間中は出社」など、何らかの条件付きです。したがって、リモートワーク求人が増えた=いつでも在宅で働けるとは限らない点には注意しましょう。特に地方からフルリモート前提で転職する際は、本当に一度も出社不要なのか、必要に応じて出張対応できるのかなど、事前確認が重要です。
リモートワーク求人の増加に伴うトレンドとして、面接のオンライン化もすっかり一般化しました。Web会議ツールでの面接はコロナ禍で急速に広まり、現在でも一次・二次はオンライン、最終面接のみ対面という企業が多いです。遠方の企業でも気軽に受験できるようになった半面、直接訪問しないことで社風やオフィスの雰囲気を感じ取れないというデメリットもあります。内定後にオフィス見学の機会をお願いするなどして、不安を解消する工夫が求職者側にも必要でしょう。
また、フルリモート特化の転職支援サービスもトレンドです。前述のReworkerやRemoguのように、完全在宅の正社員求人のみ扱うサイトが出てきたのは象徴的です。これらはフルリモート可能な企業を厳選しているため、求職者にとって無駄がなく安心感があります。リモートワークに必要なスキル(オンラインでのコミュニケーション能力やセルフマネジメント力など)の習得支援コンテンツを提供しているところもあり、単なる求人紹介に留まらないサービス展開が行われています。
総じて、「働く場所」に関する自由度は確実に高まっていると言えます。今後もリモートワークは完全には元に戻らないでしょうから、求職者としては在宅勤務環境(自宅のネット環境やワークスペース)を整えたり、オンラインで成果を出すスキルを磨いたりしておくことが重要です。リモート求人への応募では「自己管理して生産性高く働けます」「オンラインツールに精通しています」といったアピールができると強みになります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の需要と人材育成
DX人材の不足については既にデータで触れましたが、これは単なる一時的なブームではなく、少子高齢化で労働力が減る日本にとって構造的な課題です。そのため国や企業も人材育成に本腰を入れ始めています。最近よく耳にする「リスキリング」(学び直し)はまさにその潮流で、政府は企業に対して従業員のリスキリング支援を呼びかけ、補助金等も準備しています。
求職者側のトレンドとしては、未経験からIT業界へ飛び込む人が増えている点が挙げられます。プログラミングスクールに通ってエンジニア転職を目指す20代、30代が増加傾向です。転職サイトでも「未経験OKのエンジニア求人特集」「社内SEでDXを推進」といった企画が組まれ、他業種からIT職種への転向をサポートする動きがあります。もちろん簡単な道ではありませんが、人材需要が旺盛な分チャレンジする価値は大きいでしょう。
DX人材の需要で顕著なのは、コンサルティングファームやSIer、ソフトウェア企業以外の一般事業会社がエンジニアやデジタル人材を大量採用していることです。メーカーや小売、物流、建築などの企業が、自社内にデジタル部門を立ち上げてエンジニアを採用するケースが相次いでいます。その結果、IT人材にとっては活躍のフィールドが広がり、待遇面でも従来のIT業界と肩を並べる条件を提示されることもあります。例えば大手製造業がDX推進のために数百名規模の中途エンジニア採用を行い、年収も業界水準より高めに設定するといったケースも話題です。
DX人材需要に関連して、副業解禁を通じた社外人材の受け入れもトレンドです。フルタイムで雇用するほどではないが専門知識を借りたいという企業が、プロ人材の副業マッチングサービスを活用しているケースが増えています。これにより求職者側も、現職を続けながら他社のDXプロジェクトに関わる経験を積むことが可能になっています。複業でスキルを積み上げ、将来的にその分野で転職するといったキャリアも現れています。
DX人材に限りませんが、資格やスキルの見える化もトレンドの一つです。転職サイト上でスキルを証明する機能や、第三者評価をプロフィールに追加できる仕組みが導入され始めています。例えばLinkedInではスキル検定を受けてバッジを表示できますし、日本でもミイダスというサービスが市場価値診断や適性検査結果をスカウト時に企業へ開示するといった試みをしています。DXに関連する資格(AWS認定やデータ分析関連資格など)を取得してプロフィールに記載しておけば、AIマッチング等でピックアップされやすくなる可能性もあります。
SNS・動画を活用した転職活動:ソーシャルリクルーティングの台頭
SNS時代ならではの転職活動も大きなトレンドです。企業の採用手法として「ソーシャルリクルーティング」(TwitterやFacebook、Instagram、TikTokなどSNSでの発信を通じて人材を採用する)が浸透しつつあります。一方、求職者側もSNSで情報収集やアピールを行う動きが見られます。
企業側のSNS活用の例としては、採用担当者や現場社員がTwitterで自社の魅力を発信したり、ハッシュタグ「#社員募集中」を付けて求人情報を流したりするケースがあります。特にIT系ベンチャーでは、採用広報の専任がTwitterで積極的に交流し「興味ある方DMください!」と呼びかけて採用につなげることもあります。またYouTubeやTikTokで採用向けPR動画を公開する企業も増えました。ショート動画で社員インタビューやオフィスツアーを流すことで、興味喚起を狙っています。調査によれば、動画を使った求人広告は応募率が向上したというデータもあり、ビジュアルな情報が求職者の心を動かしやすいことが分かります。
こうした状況に合わせ、求職者側もSNSを使って転職活動を有利に進めることができます。具体的には次のような活用方法があります:
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情報収集
業界の有識者や志望企業の社員をフォローしておくと、最新トレンドや社内の雰囲気が掴めます。転職エージェントや転職サイト公式アカウントも有益な求人情報やノウハウを発信しているので要チェックです。Facebookの転職グループや、匿名掲示板アプリでの企業評判なども参考程度に見る人がいますが、玉石混交なので公式情報との突き合わせが必要です。 -
ネットワーキング
SNS上で業界の人と交流し、人脈を広げておくと思わぬオファーにつながることがあります。実際「Twitter経由で転職した」というエンジニアも少なくありません。自分から「転職活動中です!」と発信せずとも、フォロワーとのやりとりからその人の人柄や能力が伝わり、声がかかるケースもあります。WantedlyのようなビジネスSNSでプロフィールを整備し、カジュアル面談に応じてみるのも一法です。 -
自己発信・ブランディング
SNSは自分の考えや実績を発信する場としても有用です。たとえばデザイナーなら作品をInstagramに載せたり、マーケターならnoteでマーケ分析記事を書いたり、エンジニアなら技術ブログを運営したり。こうしたアウトプットがあると、転職の際にポートフォリオとして活用できますし、採用担当者が目に留めればスカウトされることもあります。「バズる」必要はなく、質の高い情報発信を地道に続けることが大切です。 -
動画面接・動画履歴書
SNS動画ではありませんが、関連トレンドとして動画履歴書や自己紹介動画の提出を求める企業も増えています。応募者が1分程度で自己PRを撮影し提出する形式で、人柄やコミュニケーション力を見る狙いがあります。硬い面接ではわからない自然な表情や話し方が伝わると好評です。求職者としてもテキストでは表しにくい熱意や個性をアピールできるチャンスなので、指定がなくても自主的に提出するくらいの意気込みがあっても良いでしょう。 -
採用動画の視聴
企業が作成した採用動画を見ることもぜひ行いましょう。求職者が「見たい」と思う採用動画のテーマとしては「仕事紹介」「社員の1日の流れ」などが上位に挙げられます。多くの求職者が実際にこうした動画を複数視聴して企業比較している実態もあり、テキスト情報だけでなく映像情報も収集するのが当たり前になりつつあります。応募先企業に関連動画があれば積極的にチェックし、そこで得た印象や疑問を面接時の志望動機・逆質問に活かすと効果的です。
このように、SNSと動画は現代の転職活動において強力なツールとなっています。ただし、SNSは諸刃の剣でもあるため、不適切な発信には気をつける必要があります。公開範囲の設定や発言内容の見直しを行い、ネガティブな材料ではなくポジティブな材料としてSNSが機能するよう意識しましょう。
以上、最新トレンドとしてAI・リモート・DX・SNSというキーワードで解説しました。転職活動は年々進化していますので、柔軟に新しいサービスや手法を取り入れつつ、自分に合ったやり方で挑戦してください。それでは最後に、数ある転職サイトの中から特におすすめできる転職サイト10選以上を特徴とともに紹介します。
おすすめの転職サイト10選【特徴・強み・料金・適性】
最後に、転職活動にぜひ活用したいおすすめ転職サイトを10社以上ご紹介します。それぞれのサイトの特徴や強み、利用料金(基本的に無料が多いですが有料プラン等あれば記載)、どんな人に向いているかをまとめました。前述のカテゴリと対応付けながら、自分に合いそうなサービスを選んでみてください。
1. リクナビNEXT(リクルートキャリア)
特徴・強み
日本最大級の会員数と求人数を誇る総合型転職サイトです。リクルートが運営しており、全国・全業界の求人情報が掲載されています。企業からのスカウト(オファー)機能「オープンオファー」もあり、登録しておくだけで毎日多数のスカウトメールを受け取ることも可能です。自己分析ツール「グッドポイント診断」が無料で受けられ、自分の強みを把握してPR文作成に活かせると好評です。
料金
登録・利用は完全無料です。掲載企業から広告料や成功報酬を得るモデルのため、求職者は費用を気にせず使えます。
向いている人
初めて転職する人や、とにかく多くの求人を比較検討したい人に向いています。大手優良企業から地方の中小企業まで幅広く網羅しているので、「まずは市場にどんな求人があるか見てみたい」という段階でも役立ちます。20代〜30代の若手・中堅向け求人が多めですが、40代以上の求人も増えてきています。職種も営業、事務、技術、専門職などオールラウンドに揃っています。
2. doda(デューダ)
特徴・強み
インテリジェンス(現パーソルキャリア)が運営する総合型転職サイト兼エージェントサービスです。サイトで求人検索・応募ができるだけでなく、希望者にはdodaのキャリアアドバイザーが付き、求人紹介から選考対策、年収交渉まで一貫支援してくれます。公開求人と非公開求人を合わせた求人数も業界トップクラスです。スカウトサービス「dodaスカウト」では、企業や提携エージェントから直接オファーを受け取れます。
料金
Webサービス利用・エージェント利用ともに無料です。企業からの成功報酬で運営されているため、費用は一切かかりません。
向いている人
プロのサポートを受けながら転職したい人に特に向いています。応募や日程調整、辞退連絡など煩雑なやり取りをエージェントが代行してくれるので、在職中で忙しい方にもおすすめです。また、業界最大手の一角なので、求人数を網羅的にチェックしたい人にも有用です。第二新卒からベテランまで幅広い層の求人がありますが、とりわけ20〜40代でキャリアアップを目指す人に適した求人が多い印象です。
3. マイナビ転職
特徴・強み
就職・転職情報でおなじみマイナビが運営する総合転職サイトです。リクナビNEXTやdodaと並ぶ大手サイトで、求人数も常時数万件と豊富です。企業からのスカウトメール機能「スカウトサービス」もあります。マイナビ転職の強みとしては、地方求人や中小企業求人に強い点が挙げられます。地方拠点を多数持ち、地域密着企業の採用にも力を入れているため、U/Iターン転職希望者にも使いやすいです。またサイト上の転職ノウハウ記事や企業の採用特集ページなどコンテンツが充実しており、読み物としても有益です。
料金
もちろん利用は無料です。会員登録するとスカウトサービス等が利用できます。
向いている人
幅広い選択肢から求人を探したい人全般に向いていますが、特に地方で転職先を探している人や、中小規模の優良企業を掘り起こしたい人におすすめです。大企業の求人も多く扱いますが、リクナビやdodaに比べると地場企業の掲載も目立つため、「地元で腰を据えて働きたい」「隠れた優良中堅企業を探したい」という方はチェックすると良いでしょう。年齢層も20代〜50代まで幅広く、管理職クラスの募集も見られます。
4. エン転職(エン・ジャパン)
特徴・強み
エン・ジャパンが運営する転職サイトで、以前は「[en]社会人の転職情報」という名称でした。こちらも総合型サイトですが、エン転職の特徴は企業からの情報発信が非常に手厚いことです。他サイトでは見られない「社員・元社員からの口コミ」や「取材担当者の推奨コメント」が求人ごとに掲載されており、企業文化や働く人のリアルな声が伝わってきます。エン・ジャパン独自の取材に基づく記事で、社内の雰囲気や入社後のイメージが掴みやすいと好評です。スカウトサービス「エン 転職コンサルタント経由のスカウト」も利用できます。
料金
利用無料です。企業掲載料型+成功報酬型のハイブリッドモデルです。
向いている人
企業研究をしながら納得のいく転職先を見つけたい人に向いています。求人票の文字情報だけでは分からない「ぶっちゃけこの会社どうなの?」という点を知ることができるので、ミスマッチを避けたい人にはありがたいサイトです。掲載企業は中堅・中小が多めですが、大手企業の募集もあります。どちらかというと若手〜中堅向けで、未経験歓迎求人や育成前提のポテンシャル採用求人も豊富です。自己分析ツール「適職診断」も無料提供されており、自分の適性を見極めるのにも役立ちます。
5. ビズリーチ(BizReach)
特徴・強み
国内最大級のハイクラス向け会員制転職サイトです。掲載求人は年収600万円以上が中心で、経営幹部・管理職・専門職など即戦力ポジションが多く含まれます。特徴は企業やヘッドハンターからのスカウトがメインであることです。自分から求人応募もできますが、登録して職務経歴書を公開しておくと、様々な企業や人材紹介会社からスカウトが届きます。その数は会員の7割に「思いもよらない企業から」届くほどで、自分の市場価値を知る上でも有用です。一部有料プランがありますが、基本機能は無料で利用できます。
料金
基本無料(スタンダード会員)。ただし、スカウトの閲覧・応募に制限があり、プレミアム会員(月数千円)になるとすべてのスカウトに返信・応募可能になります。女性管理職応援プランなど無料でプレミアムになる制度もあり。
向いている人
年収アップ・キャリアアップを狙う中堅・シニア層に最適です。現在の年収が500万円以上くらいで、更なる高みを目指したい30代〜50代のビジネスパーソンが多く利用しています。管理職経験者、専門職スペシャリスト、海外案件の経験者などは特にスカウトが集まりやすいでしょう。また、自分ではアプローチしづらい外資系企業や役員ポジションなども声がかかる可能性があるため、ハイクラス転職を目指すなら登録必須のサービスと言えます。
6. LinkedIn(リンクトイン)
特徴・強み
世界最大のビジネスSNSで、日本でも外資系を中心にダイレクトリクルーティング(直接採用)のプラットフォームとして定着しつつあります。LinkedIn上では自身の職務経歴を英語または日本語で公開でき、企業の採用担当者やヘッドハンターから直接メッセージが届くことがあります。転職サイトというよりSNSですが、求人検索機能もあり、日本国内の求人情報も多数掲載されています。グローバル企業の募集や、英語必須ポジションの求人などはLinkedInで公開されることが多いです。
料金
登録・基本利用は無料です。追加機能(誰がプロフィールを見たかの確認等)が使えるプレミアムプランは月額有料ですが、転職活動目的なら無料で十分です。
向いている人
外資系企業やグローバルポジションを狙う人に向いています。LinkedInは基本英語表記が多いため、英語でプロフィールを書くと海外のリクルーターからの接触も期待できます。実際「LinkedIn経由で欧州企業からオファーが来て転職」といった例もあります。また専門職のプロフェッショナル(ITエンジニア、研究職、マーケターなど)は国内外問わず声がかかりやすいです。日本企業でもリクルーターがLinkedInで優秀人材を探すケースが増えているので、業界問わず中堅以上のビジネスパーソンは登録しておいて損はありません。
7. Green(グリーン)
特徴・強み
IT/Web業界に特化した求人サイトで、スタートアップから有名IT企業まで幅広いエンジニア・デザイナー・Webマーケ職の求人を掲載しています。求人数はIT特化型では最大級で、常時数千社・数万件の求人があります。特徴は、企業と応募者のマッチング機能が双方向であることです。求職者は気になる企業に「気になる!」を送れ、企業も興味ある求職者にアプローチできます。応募前にカジュアル面談を設定する機能もあり、ミスマッチを防ぎながら転職活動を進められます。
料金
無料で利用できます。企業からの成功報酬モデルで、求職者は費用不要です。
向いている人
エンジニアやクリエイターなどIT業界志望の人に最適です。転職市場でも人気のWeb系求人を網羅しているため、「エンジニア転職ならまずGreen」と言われるほど定評があります。特に成長中のベンチャー企業で働きたい人や、最新技術スタックの現場を探している人におすすめです。またGreen経由の採用は企業側もカジュアル志向が多く、「まずはお話しませんか?」というノリで面談が始まることもあります。堅苦しくなくざっくばらんに転職活動をしたいIT人材に向いています。
8. Wantedly(ウォンテッドリー)
特徴・強み
日本発のビジネスSNS型サービスで、「シゴトでココロオドル人をふやす」をミッションに掲げるプラットフォームです。求人というより「フィットする仲間探し」の色合いが強く、企業は求人ではなくウォンテッド(こんな仲間を募集していますという投稿)を掲載します。応募ではなく「話を聞きに行きたい」ボタンから始まるカジュアル面談重視がWantedly最大の特徴です。給与など待遇は記載禁止で、企業文化やビジョンへの共感を軸にマッチングする場となっています。若手中心に人気で、スタートアップ求人に強いです。
料金
登録・利用無料。企業側から掲載料を取るモデルです。
向いている人
お金や条件よりもやりがい・社風マッチを重視したい人に向いています。Wantedlyには熱いビジョンを持ったベンチャーや、ユニークなカルチャーを売りにする企業が多く集まっています。第二新卒や20代の転職にもよく使われ、まずはお互いフランクに話してみて、お見合い的にマッチングする使い方ができます。転職活動というより転職イベントや交流に近い感覚で、肩書きにとらわれず色々な企業の人と話してみたい方には最適です。ただし待遇交渉などは正式な選考過程で別途行われるため、最初は柔らかく興味のある企業と接点を持つ場と割り切りましょう。
9. Re就活(学情)
特徴・強み
20代・第二新卒専門の転職サイトです。学情という人材会社が運営し、「Re就活」という名前の通り社会人経験の浅い20代の若手人材向け求人がメインです。掲載企業も若手育成に積極的な会社が多く、未経験歓迎の求人やポテンシャル採用の募集が豊富です。職種も営業・事務・販売など未経験でも挑戦しやすいものから、ITエンジニアや専門職まで幅広く揃えています。サイト上で適職診断や20代向けの転職ノウハウコンテンツも提供しています。
料金
登録・利用は無料です。
向いている人
社会人経験3年未満程度の第二新卒や、20代でキャリアチェンジ・やり直しをしたい人にピッタリです。新卒で入社した会社を短期間で辞めてしまった方や、今は非正規だけど正社員を目指したい方などにも門戸が広く開かれています。企業側も若手採用に理解があるので、面接でも潜在能力や意欲を見てくれる傾向があります。同じ20代向けでもdodaやマイナビだと経験者募集が多いですが、Re就活は未経験OK求人の割合が高いため、自信がない方でもチャレンジしやすいでしょう。
10. Indeed(インディード)
特徴・強み
世界No.1シェアの求人検索エンジンです。求人版Googleとも言える存在で、インターネット上のありとあらゆる求人情報をクローリングして集約表示します。ハローワークの求人や企業HPの採用情報、他の転職サイトの求人までまとめて検索できるため、網羅性が非常に高いです。勤務地やキーワードでシンプルに検索でき、気になる求人があれば元サイトへ誘導されます。最近ではIndeed上で直接応募できる案件(スピード応募)も増えています。正社員だけでなくアルバイトやパートの求人も一緒に探せます。
料金
利用無料です。
向いている人
求人情報を漏れなく収集したい人に向いています。Indeedで検索すれば大抵の求人はヒットするので、「とりあえずIndeedで全体像を掴む」という使い方ができます。また、中小企業や地元企業などで自社サイトにしか求人を載せていないケースでも、Indeedが拾ってきてくれることがあります。さらに正社員だけでなくアルバイトや派遣も含めて仕事探しをする場合、個別の媒体を見るよりIndeed一発で検索した方が早いでしょう。注意点としては、求人件名や一部情報のみが表示され詳細は元サイトに飛ぶ必要があるので、情報の質は元サイト次第ということです。応募もそれぞれの媒体で行う必要があるため、実際に応募する際はその求人が載っている転職サイトなり企業ページなりに従うことになります。
11. Daijob.com(ダイジョブドットコム)
特徴・強み
バイリンガル・グローバル人材向けの転職サイトです。英語名からも分かる通り、日本語・英語両方で求人情報が掲載され、外資系企業や海外勤務求人、日系企業のグローバルポジションなどが中心です。職種は営業、経営企画、技術職、カスタマーサポートなど多岐にわたりますが、応募要件としてTOEICスコアや英語力が記載される求人が多く、語学力を活かしたい人に適しています。サイトにはレジュメを登録でき、企業や人材紹介会社からスカウトを受けることも可能です。
料金
無料で利用できます。
向いている人
英語など語学を活かせる仕事を探している人や、外資系への転職を目指す人におすすめです。日本に進出している外資の求人も多数あり、国内の一般的な転職サイトでは見つからないような募集もDaijobなら載っていることがあります。また、駐在案件や海外現地採用の求人もあるため、将来海外で働きたい人にも有用です。ある程度キャリアを積んだグローバル人材志向の中堅層が主な対象と言えます。
12. CrowdWorks(クラウドワークス)
特徴・強み
日本最大級のクラウドソーシング(業務委託マッチング)サービスです。正社員の転職とは少し異なりますが、副業・フリーランスの項でも触れたように、スキルを活かした働き方の一つとして注目されています。CrowdWorksにはWeb開発、デザイン、ライティング、事務作業、翻訳など様々なカテゴリの仕事案件が日々掲載され、個人が応募して契約・納品までオンラインで完結できます。副業探しの場としても、自営フリーランサーの営業の場としても利用されています。
料金
登録・仕事応募は無料。契約が成立すると報酬額の一部が手数料として差し引かれます(5〜20%)。
向いている人
副業で収入を得たい人やフリーランスとして独立したい人に向いています。本業の傍らスキルアップや小遣い稼ぎをしたい会社員や、主婦・学生で在宅ワークしたい方、あるいはすでにフリーとして活動していて更に案件を増やしたい方などに活用されています。実績を積んで高評価を得れば、直接クライアントから継続案件を受注できることもあり、将来的に企業常駐型のフリーランス案件(高単価)に挑戦するステップとしても有効です。ただ、単価はピンキリで安い案件も多いため、専業で食べていくには営業努力とスキルアップが不可欠です。
以上、代表的な転職サイト・サービスを12種類ご紹介しました。これら以外にも、「JACリクルートメント」(ハイクラス転職エージェント)や「パソナキャリア」「マイナビエージェント」(総合エージェント)、「女の転職type」(女性向け求人サイト)、「エン派遣」(派遣求人サイト)など、目的に応じたサービスは多数存在します。ポイントは、自分の年齢・経験・目指す方向性にマッチしたサイトを選ぶことです。各サイトの強みを理解し、ぜひ複数のサービスを併用しながら転職活動を進めてみてください。
最後になりますが、転職サイトはあくまであなたのキャリア形成を助けるツールです。使いこなすも殺すも自分次第。この記事で解説した知識をフル活用しつつ、主体的に動いて転職成功を勝ち取ってください。あなたの理想のキャリアへの一歩を応援しています。